The ICD-10 Classification of Mental and Behavioural Disorders
WHO Clinical descriptions and diagnostic guidelines
F90 多動性障害 Hyperkinetic Disorders
この一群の障害は早期の発症、著しい不注意と持続した課題の遂行が出来ないことを伴った調節不良な多動、そしてこのような行動特徴がさまざまな状況でも、いつまでも持続していることによって特徴づけられる。
体質的異常がこのような障害の正因として重要な役割をになうと一般的に考えられているが、現時点では特異的病因は不明である。近年、このような症候群に「注意欠陥障害」という診断名の使用が推奨されている。ここでそれを用いない理由は、まだ受け入れられていない心理学的過程の知識を含んでいること、そしてさまざまな問題によって不安になったり、没頭していたり、あるいは「夢想的」で無感情な小児を含むということを示唆するからである。しかしながら、不注意という問題は、行動とい う見地から、これらの多動症候群の中心的な特徴を構成することは明らかである。
他動性障害の早期(通常生後5年以内)に生じる。その主な特徴は、認知の関与が必要とされる活動を持続できず、どれも完結することなく1つの活動から次の活動へと移る傾向であり、そしてそれに体制化されない調節不良の過度の運動をともなう。このような問題は通常、学齢期を通じて持続し、時に成人期まで持続するが、しかし多くの例で通常、次第に行動や注意の改善が見られる。
他のいくつかの異常が合併することがある。他動児はしばしば向こう見ずで、衝動的で、事故を起こしやすく、熟慮の末の反抗というよりは軽率な規則違反を犯すため、しつけの問題とされることになる。彼らの大人との関係では、しばしば社会的な� �制が欠如し、ふつうにみられるはずの注意や遠慮がない。他の子どもとの関係では人気がなく、孤立しがちで、認知の障害が通常みられ、運動発達や言語発達の特異的な遅れが不相応に頻繁にみられる。
反社会的行動と低い自己評価が二次的に合併することがある。したがって、しばしば他動と「社会化されない行為障害」などのような、周囲に迷惑を及ぼすような他の行動パターンと重複する。しかしながら、現在における知見では、他動が主な問題となる一群を分離することを推奨する。
他動性障害は男児に女児の数倍多く出現する。読みの困難(および/又は他の学業上の問題)を随伴するのが普通である。
診断ガイドライン
注意の障害と他動が基本的特徴である。両者が診断に必要であり、1つもしくは� ��れ以上の状況で両者を明らかにしなければならない(たとえば家庭、教室、病院など)。
注意の障害は、課題を未完成で中止したり、活動が終わらないうちに離れてしまったりすることで明らかになる。こういった子どもたちはしばしば1つの活動から次の活動へ移るが、おそらく他のことに気が散り、1つの課題に注意を集中できないためと思われる(しかし臨床検査では通常、異常な程度の知覚や認知の転導性を示さない)。持続性と注意の欠陥は、その子どもの年齢とIQから考えて過度な場合にのみ診断されるべきである。
他動は、とくにおとなしくしていなくてはならない状況において、過度に落ち着きがないことを意味する。状況によって、走り回り跳ね回る、あるいは座ったままでいるべきときに席から立ち上� ��る、あるいは過度にしゃべり騒ぐ、あるいはもじもじそわそわしていることが含まれる。判定の基準は、状況から予想される程度より活動が過度でかつ、同じ年齢とIQの他の小児と比較して活動が過度であることが必要である。この行動特徴が最も顕著となるのは、行動の自己統制が高度に必要とされる、構造化され組織化された状況である。
以下の随伴する特徴は診断に必ずしも必要でもないが、診断の確認に役立つ。社会的関係での抑制欠如、多少危険な状況でも向こうみずであること、社会的規則に対する衝動的な軽視(他人の活動に干渉したり妨げたり、他人が質問を終わらないうちに答えたり、順番を待つのが困難であったりすること)などである。
学習の障害と運動の不器用さはきわめてしばしばみられ、これ� ��が存在するときは個別に(F80-F89)に記載されるべきであり、これらはこの他動性障害を実際診断するさいの基準の一部にしてはならない。
行為障害の症状は主診断の基準でも包含基準でもない。しかしその症状が存在するかしないかは、この障害の主な下位分類の基準となる(以下参照せよ)
特徴的な問題行動は早期に発現(6歳以前)し、長く持続するものである。しかしながら、入学前には正常範囲の幅が大きいので、他動と認定するのは困難である。学齢以前の幼児では程度が極度の場合のみ診断がなされる。
多動性障害と診断することは成人期でも可能である。基本的には小児期と同様であるが、注意と行動に関しては発達に見合った基準を考慮して診断しなければならない。多動が小児期に存在し、しか� ��現在はなく反社会的人格障害や物質乱用などの他の状態になっている場合には、以前の状態ではなく現在の状態でコード化する。
{鑑別診断}
障害が混合していることが普通であり、そして広汎性発達障害がある場合には、それが優先する。診断で主に問題となるのは行為障害との鑑別である。他動性障害はその診断基準が満たされれば、行為障害に優先して診断される。しかしながら、軽度の過動と不注意は行為障害でも一般にみられる。他動と行為障害の特徴がいずれも存在し、しかも他動が広汎で重篤な場合には、「他動性行為障害」(F90.1)と診断されるべきである。
さらに問題は、他動性障害に特徴的なものとはいくぶん異なる種類の過動と不注意が、不安あるいはうつ病性障害の症状として起こることがあ� �という事実である。したがって激越うつ病性障害の典型的な症状である落ち着きのなさから、他動性障害の診断を導きだしてはならない。同様に、しばしば重篤な不安の症状としての落ち着きのなさから他動性障害の診断を導き出してはならない。もし不安定性障害の1つの基準(F40-,F41-,F43-あるいはF93-)が満たされるならば、不安と結びついた落ち着きのなさとは別に他動性障害の随伴が明らかでない限り、それが他動性障害に優先する。同様に、気分障害(F30-F39)の診断基準が満たされるならば、単に注意集中が障害され、精神運動性激越があるという理由で他動性障害を付加して診断してはならない。二重診断は、気分障害の単なる部分症状ではないことが明確に示される他動性障害が存在する場合にのみなされるべきである。
小 児の他動行動が学齢期に急激に発症する場合には、あるタイプの反応性障害(心因性かあるいは器質性)、躁状態、分裂病あるいは神経学的疾患(たとえば、リュウマチ熱)によるものが多い。
(除く)
不安障害(F41.-あるいはF93.0)
気分(感情)障害(F30-F39)
広汎性発達障害(f84.-)
精神分裂病(F20.-)
F90.0 活動性および注意の障害 Disturbance of activity and attention
妊娠中のにきび治療の安全な
満足のいく他動性障害の下位分類は、いまだに不確定である。しかしながら、青年期や成人期における転帰は攻撃性、非行あるいは反社会的行動を伴っているかどうかによって大きく影響されることが追跡調査によって示されている。したがって、主要な下位分類はこのような特徴が合併するかしないかによってなされる。他動性障害(F90.-)のすべての診断基準が満たされるが、F91.-(行為障害)の診断基準が満たされないときにF90.0とコード化されるべきである。
(含む)
他動を伴った注意欠陥障害あるいは注意欠陥症候群
注意欠陥他動性障害
(除く)
行為障害を伴った他動性障害(F90.1)
F90.1 多動性障害 Hyperkinetic conduct disorder
多動性障害(F90.-)のすべての診断基準、および行為障害(F91.-)のすべての診断基準の満たされるときに、コード化がなされるべきである。
行為障害は反復し持続する反社会的、攻撃的あるいは反抗的な行動パターンを特徴とする。そのような行動は、最も極端なときには、年齢相応に社会から期待されるものを大きく逸脱していなければならない。それゆえ通常の子どもっぽいいたずらや青年期の反抗に比べてより重篤である。単発の反社会的あるいは犯罪的行為は、それ自体では、持続的な行動パターンを意味するこの診断の根拠とはならない。
行為障害の特徴は、他の精神科的病態の症状でもありうるので、その場合には基礎にある診断コード化すべきである。
行為障害は症例によっては、非社会性人� �障害へと発展することがある(F60.2).行為障害はしばしば、不満足な家族関係や学校での失敗を含む、不利な心理的社会的環境と関連しており、それは普通男児に多く認められる。情緒障害との区別は十分妥当性がある。他動とは明確に分離されず、しばしば重なり合う。
診断ガイドライン
行為障害の存在についての判断は、小児の発達レベルを考慮に入れなければならない。たとえば、かんしゃくは3歳児の発達段階では正常範囲であり、単にそれがあるだけでは診断の根拠とはならない。同様に、(暴力犯罪のような)他人の市民権の侵害は、ほとんどの7歳児の能力の範囲内にはないので、そのためこの年齢層にとっての必要な診断基準とはならない。
診断の基礎となる行動の例は、次のようなものである。過度の� ��嘩やいじめ、動物や他人への残虐行為、所有物へのひどい破壊行為、放火、盗み、繰り返し嘘をつくこと、学校のずる休みと家出、度重なるひどい癇癪、反抗的で挑発的な行動、持続的で激しい反抗。これらのうちどれでも、その程度が重篤であれば、診断にとって十分であるが、単発の反社会的行為はその限りでない。
除外基準には、分裂病、躁病、広汎性発達障害、他動性障害、うつ病などの、まれではあるが重篤な病態を基礎とするものが含まれる。
上記の行動が6ヶ月あるいはそれ以上持続しなければ、この診断を下すことは勧められない。
(鑑別診断)
行為障害は他の状態と重なり合う。小児の情緒障害(F93.-)との共存は、行為および情緒の混合性障害(F92.-)と診断すべきである。しかしながら、� �度で、より状況特異的なレベルの他動や不注意は行為障害の子どもでは、低い自己評価や軽い情緒の乱れと同様に、普通である。いずれもこの診断を除外しない。
(除く)
情緒障害を伴った行為障害(F92.-)もしくは他動性障害(F90.-)
気分(感情)障害(F30-F39)
広汎性発達障害(F84.-)
精神分裂病 (F20.−)
この障害群は、持続的な攻撃的、反社会的あるいは挑戦的行動と、明らかで際立った抑うつ、不安あるいは他の情緒的混乱の症状と結合によって特徴づけられる。
診断ガイドライン
重篤さが、小児期の行為障害(F91.-)及び情緒障害(F93.-)、あるいは成人型の神経症の診断(F40-F49)、あるいは気分障害(F30-F39)の両方の診断基準を満たさなければならない。
このカテゴリーについて十分な研究はされていないので、小児期の行為障害から分離するだけの確証は得られていない。潜在的な、病因論的および治療的重要性と、分類の信頼性への寄与のためにここに含めた。
F92.0 抑うつ性行為障害 Depressive conduct disorder
このカテゴリーは小児期の行為障害(F91.-)と、持続的で際立った抑うつ気分、例えば過度の悲哀感、日常的活動への興味と喜びの喪失、自責感、絶望感、などの症状との結合が必修である。睡眠あるいは食欲の障害もありうる。
(含む)
うつ病性障害(F30-39)を伴う行為障害(F91.-)
F92.8 他の行為および情緒の混合性障害
このカテゴリーは小児期の行為障害(F91.-)と不安、恐怖、強迫観念か強迫行為、離人症か現実感喪失、恐怖症か心気症などの持続的で際立った情緒的症状との結合が必要である。このことはこの診断と矛盾しないが、支持もしない。
(含む)
情緒障害(F93.-)あるいは神経症性障害(F40-48)をともなう行為障害(F91.-)
小児精神医学では伝統的に、小児期と青年期に特異的に 発症する情緒障害を成人型の神経症性障害から区別してきた。この区別の根拠として主に以下の4点があげられてきた。
第一は、情緒障害の小児の大多数が正常な成人になることが、諸研究で一致して示されていること。すなわち神経症性障害を成人になって示すものは小数である。逆に、成人の神経症性障害の多くは小児期にはっきりとした精神病理学的前徴をしめさず、成人になってから発症していると思われること。したがって、これら2つの年齢期における情緒障害の間には、かなりの不連続性が認められること。
第二は、小児期の情緒障害の多くは、それ自体質的に異常な現象というよりは、むしろ正常な発達傾向が誇張されたものであること。
第三は、第四のことと関連するが、小児における心理機制は� ��人の神経症のそれとは同じではないかもしれないという理論的仮説が、情緒障害についてしばしば提出されてきたこと。
第四は、小児の情緒障害は、たとえば恐怖症や強迫性障害のような、特定のものと考えられている障害単位にはっきりとは区別できないこと。
第三の点は経験的妥当性が不十分であり、疫学的データーから第四点が正しいとすれば、(小児と成人の両方でよくみられる未分化な情緒障害に関して)程度の差だけであることを示唆する。したがって、第二の点(すなわち、適切に発達しているかどうか)が、小児期に特異的に発達する情緒障害(F93.-)と神経症性障害(F40-F48)の違いを決める際に、診断のカギとなる症状として使用される。この特徴の妥当性は確実ではないが、適切に発達している小児期で� ��情緒障害は、より予後がよいといういくつかの経験的証拠がある。
F90.3 小児期の分離不安障害 Separation anxiety disorder of childhood
ナタールうつ病の原因を投稿する
歩き始めの子どもや就学前の子どもが、愛着を持っている人から実際に別れたり、その恐れがあったりすることに対して、ある程度の不安を示すのは正常である。分離不安障害は、分離への恐れが不安の中心を構成し、幼児期に生じた場合のみ診断されるべきである。これは、程度が統計的にみて異常なほど重く(通常の年齢期をこえて異常に続くことも含める)、かなりの社会的機能の問題をともなうとき正常の分離不安と鑑別される。さらに、診断には人格的な機能発達の全般的な障害がないことが必要である。もし障害があった場合は、F40-F48の節のコード化を考慮すべきである。発達的に相応しない年齢(たとえば青年期)に起こった分離不安� ��、発達的に相応する分離不安が異常に持続した場合でない限り、ここにコードすべきでない。
診断ガイドライン
診断のカギとなるのは、愛着の対象(通常両親あるいは他の家族成員)から別れることを中心とした過度の不安は次のような形をとりうる。
(a) | 強く愛着を持っている人に災難が降りかかるという非現実的な、現実離れした心配に心を奪われる。あるいは彼らが去って戻らないだろうという恐れ |
(b) | 迷子、誘拐、入院、あるいは殺されるという災難によって、強く愛着を持っている人から引き離されてしまうという非現実的な心配に心を奪われること。 |
(c) | 分離の恐れのために、(学校での出来事を恐れるような他の理由からでなく)登校を嫌がり、あるいは拒否し続ける。 |
(d) | 強く愛着を持っている人が近くか隣にいないと、眠るのをいやがり、あるいは拒否し続けること。 |
(e) | 1人で家にいること、あるいは強く愛着を持っている人なしで家にいることへの持続的で度の過ぎた恐れ。 |
(f) | 分離に関する悪夢を繰り返す。 |
(g) | 身体症状(悪心、胃痛、頭痛、嘔吐などの)が、強く愛着を持っている人からの分離を伴う状況のさいに繰り返し起こること、たとえば家を離れて学校に行く場合。 |
(h) | 強く愛着をもっている人からの分離を予想したとき、その最中、あるいはその直後に、過度の悲嘆を繰り返すこと(不安、泣くこと、癇癪、惨めさ、無感情、あるいは社会的引きこもりとして現れる)。 |
除く
気分(感情)障害(F30-F39)< br/>神経症性障害(F40-F48)
小児期の恐怖症性不安障害(F93.1)
小児期の社会性不安障害(F93.2)
F93.1 小児期の恐怖性不安障害 Phobic anxiety disorder of childhood
小児も成人と同じように、広い範囲の事物や状況に対して恐怖を持つことがある。これらの恐怖のあるものは心理社会的に正常な発達の一部分ではない。たとえば広場恐怖がその一例として挙げられる。このような恐怖が小児に見られた場合、F40-F48の節の該当するカテゴリーに分類すべきである。しかしながら、ある恐怖は著しく発達段階に特異的であり、大多数の小児に現れる。たとえば就学前の一時期における動物恐怖がそれである。
診断ガイドライン
このカテゴリーは発達段階に特異的な恐怖であって、F93の総ての障害に当てはまる以下の付加的な基準を満たす場合にのみ用いるべきである。
(a) 発症は相応する発達時期であること。
(b) 不安の程度が臨床的に異常であること。
(c) 不安が 全般的な障害の一部ではないこと。
(除く)全般性不安障害(F41.1)
F93.2 小児期の社会性(社交)不安障害 Social anxiety disorder of childhood
人見知りは0歳後半の子どもでは正常な現象であり、幼児期では新しい、未知の、社会的に脅かされるような状況の出合ったさい、ある程度の社会的な気がかりや不安を持つことは正常である。このカテゴリーはそのため、6歳までに起こった障害であり、その程度も普通でなく、社会的機能の問題を伴い、より全般的な情緒障害の一部でないもののみに用いるべきである。
診断ガイドライン
この障害の子どもは、見知らぬ人に対して持続的あるいは反復的な恐怖および/または回避を示す。このような恐怖は主として大人や友人たちに対して、あるいはそのいずれに対しても起こりうる。この恐怖は両親や他の親しい人びとに対して、選択的に正常な程度の愛着を伴っている。この社会的出会いの回避ないし恐怖� �、子どもの年齢にとっての正常範囲を超えており、臨床的に重大な社会機能の問題を伴っている。
(含む)
小児期あるいは青年期の回避性障害
F93.3 同胞葛藤性(抗争)障害
幼児に多く、あるいは大多数が通常、同胞(通常は直ぐ下の同胞)の誕生後に多少とも情緒障害を示す。大抵の場合、その障害は軽いが、年下の同胞が生まれてから後に対抗意識や嫉妬が生じると、著しく持続することがある。
診断ガイドライン
障害は以下のものの組み合わせにより特徴づけられる。
(a) 同胞対抗および/または嫉妬の証拠がある。
(b) 発症が通常、すぐ下の同胞が生まれてから数ヶ月以内である。
(c) 情緒障害の程度および/または持続期間が異常であり、心理社会的問題を伴っている� �
同胞対抗の意識/嫉妬は、親の注意と愛情をめぐって同胞と激しく競い合うことで示されるであろう。これを異常とするには、普通の程度を超えた陰性の感情を伴っていなければならない。重症例ではこれは、同胞に対する明らかな敵意、身体的外傷及び/または意義悪、そして陰険な行為などになることがある。軽症例ではこれは、物事を分かち合うことを極度に嫌がる。肯定的な見方をしない、親密な係わり合いをしないことで示される。
情緒障害は様々な形をとりうる。しばしば退行し、一度獲得した技能(たとえば排尿排便のコントロール)を失ったり、赤ん坊のような振る舞いをしたりする。また、親に気を惹くために、食べ方など、赤ん坊の行動を真似しようとすることがよくある。通常、親の邪魔をしたり反抗的� ��振舞ったり、癇癪をおこしたり、不安、苦悩や社会的引きこもりの形で不機嫌が現れたりすることが多くなる。睡眠も障害されることがあり、しばしば寝るときに親の見守っていることを強く要求したりする。
十代のサッカー脳震盪
(含む)
同胞への嫉妬
(除く)
同輩対抗(非同胞)F93.8
F93.8 他の小児期の情緒障害
(含む)
同一性障害
過剰不安障害
同輩対抗
(除く)
小児期の性同一性障害F64.2
この一群の障害は幾分異種な群であり、発達期に始まる社会機能の異常という共通点はあるが、しかし(広汎性発達障害とは異なって)すべて
の機能領域に渡る、明らかに素質的な社会的無能力あるいは欠陥によって一次的に特徴付けられるものではない、深刻な環境の歪みや欠乏が共通しており、多くの例でそれが原因として決定的な役割を演じていると考えられる。明らかな性差はない。この社会的機能の障害群が存在することは広く認められているが、確実な診断基準はなく、また最もふさわしい下位分類や分類に関しても異論がある。
F94.0 選択的緘黙 Elective mutism
ある状況では言語能力があることが実証されるが、他の(限られた)状況では話せないという、会話が著しく情緒的に決定され選択されることで特徴づけられる病態である。この障害は幼児期に最初に出現することが極めて多い。男女ともほぼ同じ頻度で出現し、緘黙は、社会的不安、引きこもり、敏感さ、あるいは抵抗を含む際立った性格の特徴と結びついているのが普通である。典型的には家庭や親しい友人とは話し、学校や知らない人とは沈黙している。しかし、他のパターン(逆の場合も含む)も起こりうる。
診断ガイドライン
診断の前提となるのは、以下の3つのことである。
(a) 正常あるいはほぼ正常な言語理解能力の水準。
(b) 社内的コミュニケーションに十分な表出性言語能力の水準。(c) ある状況において正常あるいはほぼ正常に話すことが出来ることが明らかなこと。
しかしながら選択性緘黙の小児のうち、言語発達の遅れか発音の障害の既往を持つものが少数ある。診断は、もし有効なコミュニケーションにとって適切な言語を持ちながら、ある状況では流暢に話すが異なった状況では緘黙あるいはほとんどそれに近い、というような社会的背景に応じた言語使用の大きな不釣合いが見られるならば、この問題があるということになり、そのことで下される。また、ある社会的状況では話せないが、他の状況では話せなければならない。診断には一定時間持続して話せないこと、話せる状況と話せない状況に関して一貫性があって予想できることが必要である。
大部分の症例で他の社会的情緒障害が 認められるが、しかし診断に必要な特徴の一部とはならない。このような障害は一貫したパターンで続くわけではないが、異常な器質特徴(特に社会的過敏性、社会的不安、社会的ひきこもり)は普通にみられ、反抗的な行動も起こる。
(含む)
選択的無言
(除く)
広汎性発達障害F84.-
精神分裂病F20.-
ことばと言語の特異的発達障害F80.-
幼児の分離不安の部分症状としての一過性の無言F93.0
F94.1 小児期の反応性愛着障害 Reactive attachment disorder of childhood
乳児や幼児に起こるこの障害は、社会的関係パターンが持続的に異常を示すことが特徴であり、情緒障害を伴い、周囲の環境の変化に反応したものである。励ましても効果がない恐れと過度の警戒が特徴的であり、友達との社会的相互交流が乏しいことが典型的であり、自分自身や他人への攻撃性がしばしば見られ、惨めさを感じていることが普通であり、ある場合には成長の不全が起こる。この症候群はおそらく親のひどい無視、虐待や深刻な療育過誤の直接的な結果として起こりうる。この行動パターンが存在することは広く認められ受け入れられているが、しかし適応すべき診断基準、症候群の範囲、1つの妥当な疾患単位を構成するのかどうかに関しては不明確なままである。しかしながら、このカテゴリーをここに 含めたのは、この症候群が公衆衛生上重要であること、存在することは何ら疑いがないこと、この行動パターンが明らかに他の診断カテゴリーの診断基準に当てはまらないことからである。
診断ガイドライン
中核的な特徴は、5歳以前に形成された養育者との異常な関係パターンであり、正常な子どもには普通見られない不適応の特徴を持ち、持続的であるが、育て方が十分にはっきりと変化すればそれに反応する。
この症候群の幼児は、別離や再会の時に最も明瞭となる、ひどく矛盾したあるいは両価的な社会的な反応を現す。たとえば、幼児は視線をそらしながら近づいたり、抱かれている間とんでもない方向をじっと見ていたり、養育者がなだめても、近づいたり避けたり逆らったりして複雑な反応を示す。情緒� ��害は明らかな惨めさ、情緒的反応の欠如、床にうずくまるなどの引きこもり反応、及び/または自分自身や他人の悩みに対する攻撃的な反応で示される。励ましても効果がない恐れと過度の警戒(しばしば「氷ついた用心深さ」と言われる)が生じる場合もある。大部分の例で仲間たちとの相互交流に興味を持つが、しかし陰性の情緒反応により一緒に遊ぶことは妨げられている。愛着障害には、身体的発達不全を合併し、身体の身長の障害される例もある。(随伴する身体的コードを付加する(R62))。
多くの正常な子どもは、どちらか一方の親に選択的な愛情をもつというパターンが安定していないが、反応性愛着障害と混同してはならない。これはいくつかの重要な点で異なっている。愛着障害は、異常な不安定さが特徴的で あり、正常な子どもではほとんど見られない。著しく矛盾する社会的反応として現れる。異常な反応は様々な社会的状況にわたって広がり、特定の療育者との一対の関係に限られていない。励ましへの反応が欠如していること、無感情、惨めさや、恐怖という形の情緒障害を伴う。
5つの主な特徴によってこの病態は広汎性発達障害から鑑別される。第一に、反応性愛着障害の小児は社会的な相互関係と反応性の正常な能力を持っているが、広汎性発達障害の小児は持っていない。第二に、反応性愛着障害では、最初は様々な状況で社会的反応の異常なパターンが行動の全般的特徴であるが、もし継続的に責任をもった療育が行なわれる正常な環境に育てられれば、大幅に改善する。広汎性発達障害ではこうした改善は起こらない。 第三に、反応性愛着障害の小児は言語発達が障害されることがあるが(F80.1で記載された型)、自閉症と異なり、反応性愛着障害は、環境の変化に反応を示さない持続的で重篤な認知上の欠陥を伴わない。第五に、行動、関心、活動に見られる、持続的な、限局した、反復性で、常同的なパターンは反応性愛着障害の特徴ではない。
反応性愛着障害はほとんど常に、ひどく不適切な子どもの療育に関係して生じる。これは心理的虐待あるいは無視の形をとる(過酷な懲罰、子どもの申し出にいつも反応しないこと、あるいは非常にばかげた療育で示される)、あるいは身体的な虐待あるいは放置である(子どもの基本的な身体的要求をいつも無視すること、繰り返して故意に傷つけること、あるいは栄養補給の不適切さで示される)� ��不適切な療育とこの障害との間の密接な関連について知見が十分でないので、環境上の不全と歪みは診断にとって必要なものではない。しかしながら、虐待や放置の証拠なしにこの診断を下す場合は注意を要する。逆に虐待や放置があったからと言って、機械的にこの診断を下してもいけない。虐待されたり放置されたりする子どもが総てこの障害を示すとは限らない。
(除く)
アスペルガー症候群(F84.5)
小児期の脱抑制性愛着障害(F94.2)
身体的問題をもたらす被虐待児症候群(T74)
選択的な愛着のパターンの正常な変異
小児期の性的身体的虐待、心理社会的問題を生じるもの(F94.2)
F94.2 小児期の脱抑制性愛着障害 Disinhibited attachment disorder of childhood
異常な社会的機能の特殊なパターンであり、5歳以前に発症し、いったん形成されると周囲の環境が著しく変化しても持続する傾向を示す。この障害の小児は2歳ごろまではしがみつきと誰にでもべったりとくっつく、無選択的に集中する愛着行動を示す。4歳まで相手かまわずの愛着行動は残るが、しがみつき行動は、注意を惹こうとする、無分別に親しげな行動にとって変わられる。小児期の中、後期には、選択的な愛着が発達することもしないこともあるが、しかし注意を惹こうとする行動はしばしば持続し、仲間との調子を合わせた相互交流が乏しいのが普通である。また環境によっては情緒障害や行動障害を伴うことがある。この症候群は、施設以外でも起こるが、乳児期から施設で育てられた子どもで最もはっき りと確認されてきている。一部は、療育をする人があまりにしばしば代わる結果として、選択的な愛着を発達させる機会が常に失われていることに起因すると考えられる。この症候群の概念は相手かまわずの愛着が早期に見られること、社会的交流の乏しさが持続すること、状況特異性が欠如することとまとめられる。
診断ガイドライン
診断は、5歳前後に選択的な愛着が異常なほどに広範囲であること、及び幼児期に誰にでもしがみつく行動、及び/又は小児期に誰にでもしがみつく行動、及び/又は小児期の初、中期に見境なく親しく、注意を惹こうとする行動を伴うという明らかな事実に基づかければならない。通常仲間たちとの親しい信頼関係を形成するのは困難である。情緒障害や行動障害は伴ったり、伴わなかったり する(一部はその小児の現在の環境による)。大部分の例で、生後1年のうちに養育者が頻繁に変わったり、家族の配置が度々変わったりするという(養育家庭が何回も変わるような)養育歴が明白である。
(含む)
情性欠如精神病質
施設症候群
(除く)
アスペルガー症候群(F84.5)
小児のホスピタリズム(F43.2)
多動性あるいは注意欠陥障害(F90.-)
小児期の反応性愛着障害(F94.1)
何らなの形のチックが支配的な症状である症候群。チックは不随的、急速で反復的、非律動的な(通常限局した筋群の)運動あるいは発声であり、突発的に始まり何ら明確な目的を持っていない。チックは抵抗しがたいものとして経験されることが多いが、通常、時間はさまざまだが抑えることが出来るものである。運動性及び音声チックの両方とも、単純型か複雑型かに分類できるが、しかしながら、その境界は明確に定義されていない。よくある単純運動性チックには、まばたき、首を急速にふる運動、肩をすくめる、しかめ顔がある。よくある単純音声チックには、咳払い、吠える、鼻をすする、シューという音を出すものがある。よくある複雑性運動性チックには、自分を叩いたり、飛んだり跳ねたりするものがある� ��よくある複雑性音声チックには、特定の単語を繰り返すもの、時には社会的に受け入れられない(しばしばわいせつな)単語を使うもの(汚言)、自分の発した音や単語を繰り返すもの(同語反復)がある。
チックの重症度には著しい幅がある。一方の極では、おそらく5人か10人の小児に1人が、ある時期に一時的にチックを呈するという正常に近い現象がある。他方の極には、まれではあるが、慢性化し、無能力になる障害であるトゥーレット症候群がある。これらの両極が異なった病態を示しているのか、あるいはむしろ同じ連続体の異なった両端なのかについては不確定だが、多くの専門家は後者の可能性が高いと考えている。チック障害は女児より男児に相当多く、チックの家族歴が普通見られる。
診断ガイドライ� ��
チック障害と他の運動性障害との主要な鑑別点は、突発、急速、一過性、限局性という運動の性質、それとともに神経疾患を基礎にもつ証拠がないこと、反復性であること、(通常は)睡眠中は消失すること、随意的に簡単に再現あるいは抑制できること、である。チック障害には律動性が欠如しているので、自閉症児や精神遅滞の一部の例で見られる常道反復運動から鑑別される。同じ障害で見られる衒奇的な運動は普通、チックで見られるものよりも複雑で多様な運動を含む傾向がある。強迫行動は時に複雑性チックと似ているが、その形式は関与する筋群から決まるのではなく、目的から決まるもの(例えば何かに触れるあるいは何回も回るなど)である点で異なっている。しかしながら、この鑑別は時に困難である。
チックはしばしば孤立した現象として起こるが、しかし実にさまざまな情緒障害を伴うことがまれでない。とりわけ、強迫的現象を伴う。しかしながら、特異的な発達遅滞もチックと関連している。
チックに情緒障害を伴ったものと、情緒障害にチックを伴ったものとの間にはっきりと線を引くことは出来ない。しかしながら、診断は異常度の大きい類型を表していなければならない。
F95.0 一過性チック障害 Transient tic disorder
チック障害の一般的な診断基準を満たすが、12ヶ月以上続かないチックである。この障害はチックの最も普通に見られるものであり、そして4,5歳前後に頻度が最も高く、通常チックはまばたき、しかめ顔や、首をふるという形をとることが多い。チックが単一エピソードとして起こる症例もあるが、数ヶ月以上にわたって寛解と再発が見られる症例もある。
F95.1 慢性運動性あるいは音声チック障害 Chronic motor or vocal tic disorder
チック障害の一般的な診断基準を満たし、運動性あるいは音声チックがあり(しかし両方ではない)。それは単発性のことも多発性のこともあるが(通常は多発性)、1年以上持続するものである。
F95.2 音声および多発運動性の合併したチック障害(ド・ラ・トゥーレット症候群)
多発性運動性チック、及び単発性か多発性の音声チックが現在あるか、あるいは過去にあったかするチック障害の一形式であるが、両方が同時に存在する必要はない。発症はほとんど常に、小児期か青年期である。音声チックの発現以前に、運動性チックの既往のあることが普通である。症状はしばしば青年期に悪化し、成人期まで持続するのが普通である。
音声チックはしばしば多様性で、爆発的で反復的な発 声をしたり、咳払いをしたり、ぶつぶつ言ったりし、ひわいな言葉や語句を師用することもある。時には反響動作がみられ、やはりわいせつな性質(copropraxia)を持つことがある。運動性チックと同様に、音声チックも随意的に短時間抑制したり、ストレスによって増悪したり、睡眠によって消失したりすることがある。
F95.8 他のチック障害 Other tic disorders
F95.9 チック障害、特定不能なもの
これは推奨されない残遺カテゴリーで、チック障害の一般的な診断基準は満たすが、特定の下位カテゴリーに分類されないか、あるいはその特徴がF95.0,F95.2の診断基準を満たさないような障害の時にもちられる。
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